2018/10/21 UP
いよいよ待ちに待った東京公演!
その前に・・・10月17日に行われた「ウェストミンスター大聖堂」でのコンサートレポートをお届けします。
少し、予習に役立つでしょうか?
<2018年10月17日 ロンドン、ウェストミンスター大聖堂コンサートレポート>
ロンドン、ヴィクトリア駅の目の前にそびえ立つ ウェスストミンスター大聖堂で行われたリベラのコンサート。メンバーはこの日、学校での勉強を終えてから集まってきた。夕方の6時過ぎまでミサが行われていたため、慌ただしくリハーサルを済ませて開場となった大聖堂の中はあっという間に観客で一杯になった。
メンバーはいつものように白いローブを着て登場。彼らが定位置に付くと照明が消えて、<ミステリウム>の神秘的なイントロが始まる。この曲で観客はリベラの世界へあっという間に引き込まれていくのだ。プロデュースと指揮をするロバート・プライズマン作曲のこの楽曲はリベラのコンサートの定番ともなっている。
ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、フルート、クラリネット、オーボエで編成された楽団が舞台の前方で、軽快に優美 な音色を奏でる。ベートーヴェンの交響曲第9番 のメロディーに歌詞を付けた<ジョイフル・ジョイフル>の元気なコーラスが始まる。リベラならではの絶妙なハーモニーをすでに満喫した観客の盛大な拍手。メンバーの少年達の固かった表情がなごんでいく。
そしていよいよニュー・アルバム『beyond』に収録された<祈り>のソロが始まる。歌うのは小さなダニエル。舞台度胸がありプレスには神対応で知られる期待の新人だ。
温かな拍手の後にはロバート・プライズマンの<アヴェ・マリア>でソロをとるマーリンの澄んだ歌声が聴こえてくる。マーリンはソロとしてリベラでは中心的な存在になっている。後半のステージでもアメリカのシンガーソングライター、ジュリー・ゴールドが作詞作曲した<From A Distance>をまろやかな声で見事に歌い上げていた。
オリバーは自慢のロングヘアーをばっさり切って登場。あの愛らしい顔立ちが引き締まり凛とした少年に成長し、ソロを取ることも多くなった。今回もプライズマン の代表曲とも言える<ステイ・ウィズ・ミー>、<サルヴァメ>の2曲でソロを披露し観客を魅了した。オリバーは普段無口でこちらが話しかけてもうなずくだけだったりして、言葉を引き出すことがとても難しいのだが、歌にはうちに秘めた強い情熱を持っている。だからその歌声は観客の心にも響くのだろう。プライズマンのもう一つの代表曲<生まれくる日>でソロを取ったのはドミニックだった。 普段はとてもお茶目で仲間を笑わせる男の子なのにステージ上がると真剣そのもので、この日も静かに落ち着いた様子で歌い上げていた。
実はこのコンサートにはサプライズがあったのだ。プログラムの演目には載っていなかったカッチーニの<アヴェ・マリア>をリオがソロで歌ったのだ。この楽曲は音域が広く、高音が続く所でクライマックスを迎える。指揮をとるプライズマンがリオの体調と喉の調子をリハーサルで確かめて急遽取り入れることにしたのだろう。リオはステージのバックに回って高音でヴォカリーズを担当することが多く今のリベラ・サウンドにとってなくてはならない存在だ。インタビューやコメント取りにもはきはきと答えてくれてリベラの中心的な役割を担ってくれる頼もしいメンバーだ。
今回のコンサートで観客にとって最も新鮮な感覚で受け止められたのは<楽園にて>だろう。この曲はベン・ロビンスが作曲し、ラテン語の歌詞をつけてソプラノ歌手フィオナ・ジェシカ・ウィルソンに歌わせたもので2007年のクラシックFMで作曲賞に輝き英国のクラシック・チャートで大ヒットとなった。この美しい曲でソロを取っているのがロコだ。普段とてもシャイでコメント取りの時、カメラを向けてもタイミングがずれたりして、ずっこけることも多いのだが、この歌には情感がたっぷりと込められていて、原曲を遥かに越えるほど完成度が高い。ニューアルバム「beyond」に付属されたDVDでは、ヨーロッパ映画のように叙情的なミュージック・ビデオも楽しめるので、是非映像と一緒に聴き入ってもらいたい。
エンヤの大ヒット曲<オリノコフロウ>やリベラが得意とする<サンクトウス>など大合唱の迫力をたっぷりと聞かせてくれてくれた後、この日のコンサートの締めくくりとなったのは彼らのテーマソングとも言えるあの<リベラ>。リベラのグループ名の語源となったラテン語で自由を意味する言葉。
演奏が終了すると観客は総立ちになり、「ブラボー」の声が飛び交った。割れんばかりの拍手が大聖堂の中でいつまでも鳴り響いている。
リベラ!これからも自由に未知数の可能性を秘めた大海原へ飛び立って行って欲しい!
レポート:今井孝子